【イベント開催】オンライン企画 「第1回SDGsノマドcafe」 はじめます!

 

「子どもたちと未来世代に残したい地球」

2021年8月22日(日) 20:00‐21:30 ナマケモノ対談

(トークゲスト)辻信一さん、深津高子さん
(聞き手)中村隆市

 

「もう少し大人たちが、子どもたちや未来世代、動植物や地球のことを考えて
環境問題に取り組むようになったらいいなぁ」

 

「気候危機、環境汚染、森林減少、生物種の絶滅など環境の危機を
世代や子どもたちと共に乗り越えていきたい」

 

などと考えている中村隆市がそうした思いを実現するためのヒントを得たいと企画した
オンライン・トークライブ「SDGsノマドcafe」
第1回トークゲストは、中村が敬愛する辻信一さん(文化人類学者、環境運動家)と
深津高子さん(幼児教育アドバイザー)です。

 

****** 辻信一さんの最新著書より ******

 

『「あいだ」の思想ーセパレーションからリレーションへ』(高橋源一郎+辻信一、大月書店)
はじめに―「あいだ」という希望(より抜粋)

 

 世界には今、世界観の大転換が起こりつつあるとぼくは思っている。
それは人と人との、人と自然との「あいだ」を隔てていた「分離(セパレーション)」を超えて、「つながり(リレーション)」へ向かう流れだ。
 われら近代人は長い間、西洋文明の中で育まれ、世の中に浸透した、利己的で、貪欲で、競争的で、疑い深く、暴力的な人間像を各自の意識の底部に住まわせてきた。ホッブスの「万人の万人に対する戦い」から、リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」に至る、暗く悲観的な性悪説が、現代世界の主流である経済学や政治学を支えている。そこでは、ホモ・サピエンスの「サピエンス」は「ずる賢さ」として貶められている。
一方、ルソーに代表される性善説は、「楽観主義」「ロマンチシズム」「非現実主義」として、「幼さ」や「女々しさ」、「ナイーブさ」として批判や嘲笑に晒されることが多かった。
 世界各地でベストセラーとなっている『ヒューマンカインド―希望の人類史』(ルドガー・ブレグマン、未邦訳)が教える通り、人間存在の本質を「愛」「親切」「友情」「助け合い」「信頼」といった関係性に見出す新しい時代の性善説が、今、生物学や人類学をはじめとしたさまざまな分野で勃興している。「あいだ」という非西洋的な概念の井戸から汲み出される思想が、「分離からつながりへ」の転換という人類史的な事業に寄与する可能性をぼくは信じ始めている。
 まず想像することから始めよう。『ブルシット・ジョブ』で、グレーバーが読者に促してくれたように、「今だけ・金だけ・自分だけ」の仕事にとって代わる、「あいだ」をつなぎ、育てるような仕事を自由に創り、選ぶさまを想像してみよう。そしてこの古くて新しい仕事観の上に、人と人、人と自然との「あいだ」をどれだけ豊かにするかを基準(GDPならぬGRP、グロス・リレーションシップ・プロダクツ!?)とする経済をデザインしたら、どんな世界ができるか想像してみよう。

 

◆自分の中に眠らされている良い人を解放してあげればいい。
「環境=文化アクティビスト」辻信一の提案

 

性悪説が優勢だったとはいえ、いろいろな学問の分野でも、人々の思考の中でも、性悪説と性善説はずっとせめぎあっているんです。
しかしみなさん、珍しくグッドニュースです。今、性善説が急激に盛り返しています。
生物学、人類学、心理学など、多くの学問分野で、性善説が復権している。僕は、いよいよ新しい時代が来たと思っています。性善説に基づくアクティビズムが、社会活動が、環境運動がいよいよ今、夜明けを迎えつつある。
とはいえ、実は僕は結構、現状に関して悲観的でもあるんですよ。なぜなら、今の気候変動を見ていると、どう考えてもまずいんです。もしかしたら手遅れかもしれない。残念ながらおそらくもう手遅れだと言っている科学者がかなり多いんです。
客観的に見たら状況は良くないんです。しかも”ものすごく”良くない。
しかし僕は、希望があると言いたい。
なぜならば僕たちの本性はこんなものではないからです。僕たちはある意味では、壁に阻まれているわけです。
性悪説の壁に阻まれているんです。
でも希望があるというのは、僕たちを阻むその壁というのは僕たち自身の内にあるから。
ひとりひとりの内側にあるからです。
だから簡単なんですよ。どうしたらいいかといえば、その壁を自分で取り壊せばいいんだから。
そして自分の中の「良い人」、自分の中に眠らされている良い人を解放してあげればいいわけです。

 

◆子育ては世界を変える|深津高子さんインタビュー
(mammoth, 2011年3月3日)より抜粋

 

ボランティアで訪れた難民キャンプで出合ったモンテッソーリ教育

 

──どんな保育園だったのでしょうか。
 「希望の家」と名づけられた園で、カンボジア国境に近く、ポル・ポト政権の圧政から逃れてきた難民の子どもたちが通っていました。そこの代表に、どうしたら紛争を無くせるのか、真に必要な援助とは何かと私の悩みを打ち明けたら、「深津さん、平和は子どもから始まるのよ」と一言。そう言われても最初は全く意味が分からず、でも不思議にずっと頭の中をこの言葉が渦巻き続けたんです。自分でも「なぜだろう?」と、モンテッソーリに関する本を読んだりするうちに、これは本格的に勉強してみようかと思ったわけです。

 

──そして帰国して、モンテッソーリの教師の国際ライセンスを取得されました。深津さんにとって何が魅力だったのですか?
 最初、都内のあるモンテッソーリ園を見学に行ったことが強烈な印象として残っています。二歳から六歳までの園児が部屋にいるのですが、そこに何をするか指示する先生はいないんです。ある子はお絵かきをし、ある子は野菜を包丁で切り、銘々が好きなことをしている。喧嘩があれば年長の子が仲裁に入って場を収めるし、障がいのある子には皆ができない部分を協力する。大人が指示を出さずとも、子どもが自分たちで考え、仲良くクラスを運営しているんです。「何これ!?」とまさに目から鱗。これがモンテッソーリ教育だと聞き、感動しました。

 

──確かに普通の保育園や幼稚園とイメージが違いますね。モンテッソーリとは、そもそもどういう教育方法なのでしょう。
 モンテッソーリの特徴は「子どもの命が育つ手伝いをする」ことなんです。百年も前にイタリアの医師、マリア・モンテッソーリが発見した発達の法則に基づき、子どもをよく観察して、その時々に必要な環境を大人が整えるのです。すると子どもは自発的に活動を選んで試行錯誤し、失敗や成功を経て自信を身につけていく。また異年令で生活するうちに他者を思いやる社会性も発達していきます。この学びのサイクルは、幼児期だけでなく生涯続くものでもあるんですよ。

 

──「その時々に必要な環境」とは?
 モンテッソーリ教育では、何かに特に興味を持ったり、繰り返したりする時期を「敏感期」と呼び、子どもの成長にとても重要と考えます。例えば、家庭で親子それぞれに席が決まっているのに、来客をお父さんの席に座らせると、世界中の二才前後の子どもは嫌がり、「そこはダメ!」とべそをかいたり怒り出したりする子どもさえいます。これは環境の「あるべき秩序」が乱され、それに対して抗議しているのです。生理的に受け入れられないのです。敏感期は一生続くものではありません。なるべくこの時期は「いつものやり方」を尊重し、生活のリズムや流れを大きく変えないことが安心感をもたらすのです。大人が「こうして欲しい」からではなく、一人一人の子どもの敏感期をとらえ、そのニーズに合った環境を提供する。これがモンテッソーリ教育の重要なポイントです。

 

──すると、流行りの「お受験」教育とは違いますね。
 ええ、中にはモンテッソーリを英才教育に利用し、受験のための準備として取り入れる方がいて、とても残念です。大人は子どもにとっては絶対的な権力者。子どもは環境を選べないのだということを大人は肝に銘じなければいけません。
 私が出会った親の話ですが、お母さんがデザイナーで、毎日素敵なコーディネートの服を着ている女の子がいました。でも、その子はというと、いつも表情がハッピーじゃない。聞くといままですべて親が服をアレンジし、子どもには選べないだろうということでした。そこでお母さんに「一週間だけ好きに服を選ばせてあげてほしい」と提案しました。翌日、その女の子は左右違う靴下で、ズボンとスカートを重ね着した奇妙な格好で登園してきました。でも「私、自分で着たの!」と輝くような笑顔。とても嬉しくなりました。

 

──お母さんの要求どおりに生き、自己選択をさせてもらえなかったんですね。 
 ネガティブなメッセージを大人が発すれば、子どもはそのまま受け止めます。「無理」と言われれば自信をなくします。ですから「失敗はお友達」と私はよく子どもに言います。成長につながる大切な経験ですから。そして、子どもが失敗しても決して笑わないことも大切です。

 

──今の若い世代は失敗を恐れる人が多いと言われます。
 やはり、子どものころから自己選択をして、何かに集中して達成するプロセスがないからだと思います。
大人が先回りして、「あれをしなさい」「これはダメ」では、失敗は恥ずかしいものと刷り込まれるのは当然です。大人が子どもを信じ自由を与えれば、子どもは自らの五感を信頼して生きることができるようになります。その女の子のお母さんは、何年か後に「あれが私たち親子のターニングポイントになりました」と言ってくださいました。とても嬉しい思い出です。

 

卒園児に共通するのは「器用」、「集中力」そして「マイペース」
──卒園児の成長ぶりを見るのも楽しみですね。
 二百人以上を送り出しましたが、最初のころの園児はもう社会人や大学生。以前、モンテッソーリの教育を受けた子がどんな大人になっているか知りたくて、卒園児の保護者にアンケートを取ったことがあるんです。そうすると、共通していた答えが「手先が器用」と「集中力がある」、そして「マイペース」。どれもモンテッソーリ教育の真髄が表れていましたから喜ばしいことでした。

 

──どういうことでしょう。
 モンテッソーリでは、幼い頃から子どものサイズに合わせたハサミや包丁、食器といった道具類を、興味と発達に合わせて使わせますから、手先が器用になるはずです。好きなことは繰り返し上達するよう見守りますから、集中力も身につきますよね。そして、失敗を恐れませんから競争相手は他人ではなく常に自分。マイペースですから他者のニーズもきちんと尊重します。子どもの「今」を大切にしてあげることの積み重ねが、自立した人間を作るのです。私はこういう育ち方をした人が増えれば、世の中はもっと平和になると考えます。
子どもが変われば、保護者が変わり、それが地域、国、世界の変化につながる

 

──残念ながら大人には真似できませんね。
 大人はそこまで進化していないのかもしれません。子どもを見ていて感心するのは、例えばお菓子を出せば自ら数えて、みんなに分けると計算しますし、障がいのある子がいれば「ボランティア」なんて考えずにさっと手を差し伸べます。人間は本当は協力的で平和な生き物なんですね。争いごと、まして戦争が好きで生まれる赤ちゃんはいない。もし子どもに何か問題があるとすれば、それは大人によって歪められたと考えるべきでしょう。

 

◆子どもから始まる平和  深津高子さんインタビュー
(2021年 コドモノカタチ)
「モンテッソーリ教育は幼児教育だけではありません。認知症の方や半身不随の方への関わりにも応用できます。もし片方の手がよく使えない方がいれば、片手でも握れる大きさや形におにぎりを作る。またおにぎりが見えやすいように、黒いお皿に載せる。このように対象者が子どもであれ要介護の方であれ、観察を通じて、相手が自分自身でできるためのお手伝いをすることがモンテッソーリ教育です。
知れば知るほど、生命が本来持っている力を邪魔しないことは、すごく当たり前のことだと思います。本当は“モンテッソーリ教育”という言葉より、こういう考え方が常識になっていけばいいなと思っています。」

 

【 SDGsノマドcafe 第1回トークゲスト】

 

●辻信一(つじ しんいち)
文化人類学者、環境=文化NGO「ナマケモノ倶楽部」代表、明治学院大学名誉教授。
1952年生まれ、1977年北米に渡り、カナダ、アメリカの諸大学で哲学・文化人類学を学び、1988年米国コーネル大学で文化人類学博士号を取得。
1992年より2020年まで明治学院大学国際学部教員として「文化とエコロジー」などの講座を担当。またアクティビストとして「スローライフ」「ハチドリのひとしずく」「キャンドルナイト」「しあわせの経済」などの社会ムーブメントの先頭に立つ。
『スロー・イズ・ビューティフル』、『常世の舟を漕ぎて』など著書多数。映像作品に『アジアの叡智』(DVDブックシリーズ、現在8巻)など。
最新刊は『「あいだ」の思想』(大月書店)、DVDブック「レイジーマン物語 タイの森で出会った“なまけ者”」(ゆっくり堂)
より詳しいプロフィール http://www.yukkuri-web.com/tsuji/profile

 

●深津高子(ふかつ たかこ)
国際モンテッソーリ協会公認教師、一般社団法人「AMI友の会NIPPON」副理事長、「ピースボート子どもの家」アドバイザー。
1980年代、陸路やメコン河を越えてタイ国に流入してくるインドシナ難民への緊急救援に関わる。「なぜ難民がでるのか」「どうすれば戦争がなくなるのか」と自問中、難民キャンプ内のある保育所で「平和は子どもから始まる」という答えに出会う。帰国後、幼児教育の勉強を経てモンテッソーリ幼稚園に勤務。
現在はフリーの保育アドバイザーとしてモンテッソーリ教師養成コース・講演会の通訳、モンテッソーリ著書の翻訳、カフェスローでの子育て相談室「モンテッソーリ@ホーム」「モンテッソーリ@night http://cafeslow.com/event/events/5616/ 」などを通して「子どもから始まる平和」を広めている。

 

【 SDGsノマドcafe ホスト】
●中村隆市(なかむら りゅういち)
(株)ウインドファーム(有)有機コーヒー(有)カフェスロー(有)ゆっくり堂(株)セカエルの代表取締役。ナマケモノ倶楽部世話人。1955年福岡生まれ。19歳で水俣病の患者さんと出会い、環境保護活動に関わり始める。23歳で山村に移住。無農薬で米と野菜をつくりながら有機農業の普及活動に取り組む。1987年フェアトレード事業を開始。2000年ブラジル初のオーガニックカフェを開店。04年ブラジル・マッシャード市から有機農業とフェアトレードを広めた功績により名誉市民章受章。放射能から子どもを守る企業と市民のネットワーク代表。一般社団法人「生物多様性の豊かな森を守り森をつくる協会」代表理事。
■日時
2021年8月22日(日)20:00-21:30 (開場19:50)
※オンラインでの開催となります。オフライン開催はありませんのでご注意ください。

 

■参加費
800円/税込
(※未成年・大学生は無料)

 

■主催「SDGsノマドcafe」実行委員会
ナマケモノ倶楽部、カフェスロー、ウインドファーム、セカエル

 

*ご参加に当たっては上記ウェブショップよりご購入ください。
開催前日までにアクセスアドレスなどをご連絡致します。
※8月21日18時以降から22日12時までにご予約頂いた方は、22日12時以降に順次アクセスアドレスをご連絡致します。
*当日は「Zoom」によるオンライン配信となります。
*申込締切:8月22日(日)12:00まで。

 

■問合せ
カフェスロー/担当:山本
電 話:042-401-8505
メール:cafeslow(a)h4.dion.ne.jp
※お電話でのお申込みは承っておりません。予めご了承下さい。

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